犬の飼い方マニュアル

わんちゃんの心理・行動学を利用したしつけ法をしょうかいします。欧米ではこのしつけ法が一般化していて、大きな効果があがっています。これまでの方法と異なる点は、叱ることがほとんどなく、ほめて教えるということです。叱らずに犬を育てられるか疑問に思うかもしれませんが、どんなに叱っても思い通りにならないのが現状です。最近はしつけのトラブルが増加していますが、犬の行動を一方的に制限し、本能を無視したしつけ法ではうまくはいきません。

・リーダーシップを示す
大切なことは、飼い主が自分でわんちゃんをしつけないといけないということです。というのも、わんちゃんは群れの強いリーダーの言うことを聞く習性があるからなのです。飼い主が甘い顔をしていると、不安を感じて自分がしっかりしなければと考えます。そのため家族を守ろうとして、吠えたり咬みついたりするなどのトラブルになります。
子犬のときから、わんちゃんを仰向けにしてなでたりするなどしてリーダーシップを示し、犬に飼い主が強いことを示しましょう。

ほめられると嬉しい、という経験は誰にでも持っていることですが、わんちゃんにも同じ感受性があり、叱ることよりも、ほめることのほうが学習効果が上がります。

・オーバーにほめよう
とはいえほめているつもりでも、わんちゃんが嬉しく感じるようにしなければ意味がありません。日本人はほめるのが苦手で、オーバーなしぐさが苦手の人が多いといわれています。しかし、照れているようでは何も伝わりません。ただ、「よしよし」と軽く頭をなでるだけではなく、おおげさに「おお!よくできたねぇ!」などとほめてあげよう。
嬉しいと目が細くなって笑っているような顔をするわんちゃんもいます。愛犬の表情をよく観察して、どのようにほめたら喜ぶか、自分の振る舞い方を工夫してみましょう。

トイレのしつけは、室内、室外どちらで飼う場合でも必要になります。子犬が家に来たときからトイレのしつけは始まっています。子犬は成犬に比べて1日に何回も排泄します。ということは、しつけのチャンスがたくさんあるということです。そのチャンスを逃さずに教えることができれば、子犬はちゃんと覚えてくれます。

・トイレができたらほめよう
子犬は、目が覚めたときや食事の後、また遊びのあとによくおしっこをします。おしっこをしたいとき、子犬はそわそわしたり、床の臭いをかいだりと落ち着かなくなるので、そのときを見逃さず、決め手おいたトイレに抱いて連れて行きます。トイレで用を足すまで待ち、うまくできたら優しくほめてあげましょう。

・失敗しても叱らない
そそうしているところを見たら、あわてず、騒がず、迅速にトイレに連れて行きましょう。そしてちょっとでもいいのでトイレの中でおしっこをさせ、やさしくほめてあげましょう。
すでにそそうをしてしまった場合は、さりげなく子犬を別の部屋に連れて行き、犬の見ていないところできれいにどうじして、消臭を完璧にしておきましょう。
そそうしたからといって、決してたたいたり、大声で怒鳴ったり、うんちに鼻を押しつけたりして叱らないようにしてください。恐怖のあまり、飼い主を恐れるようになり、排泄そのものを禁止されたと解釈したり、強いストレスを受けたりしてしまいます。人間と違い、叱られたときにその意味を正しく理解するのはかなり難しいのです。
留守がちの家や来客が多い家ならサークルを使ってトイレとベッドを置き、同じようにしつけます。
また、トイレはいつもキレイにしておくようにしましょう。

散歩はわんちゃんにとって気分転換できるなどの大切なじかんですので、きちんと散歩をすれば、わんちゃんは飼い主を頼りに思い、心から信頼するでしょう。健康な体作りのためにも必要ですので、愛犬にあった内容の運動を日課にしましょう。飼い主の運動不足も解消され、散歩の途中で犬好きな友人ができたり、わんちゃんにも社交性が身につくので散歩に行きましょう。

・生後3ヶ月ぐらいから
生後3ヶ月になったら、動物病院に相談してワクチンを済ませ、首輪とリードを徐々に慣らして、少しずつ外の世界を見せましょう。リードを慣らすには、庭や室内で首輪をつけて気にしなくなったらリードをつけて、つけたまま遊ばせます。どこかにひっかかったり、不用意に首にショックがかからないようにしましょう。
外に出るときは、玄関の前で遊ばせたり、抱っこしたまま散歩したりするなどして、少しずつ慣らしていきましょう。怖がるときは無理強いしてはダメです。短い時間で終わるようにし、毎日少しずつ行動範囲を広げていきましょう。

・飼い主が先頭で歩く
まず、リードをひっぱらないように教えましょう。わんちゃんを好きな方向にひっぱって行かせてはいけません。飼い主のリーダーシップを示すよいチャンスですので、道順は飼い主が決めて、飼い主が先頭に立って歩いてください。わんちゃんが追い越したら、向きを変えて、反対方向に飼い主が先頭に立って歩きます。ちゃんとリードをひっぱらずについてきたら、おやつを少し与えて何度もほめてあげましょう。
また、公共の場などをわんちゃんの排泄物で汚さないよう、ビニール袋などうんちを持ち帰る準備を忘れずにしましょう。

生後1年の間に、かみ癖・とびつき・吠えてうるさいなどの問題がでてきます。しかし、わんちゃんにも理由があって、犬が自分のことをリーダーだと思い込むことが原因なので、飼い主側の接し方を変えるだけでこれらの問題は減っていくでしょう。

・リーダーをはっきりさせよう
歯が抜け替わるとき、子犬はかゆがりいといとなものを噛もうします。また、一才くらいまではじぶんの能力を知るために、相手の強さを試す時期でもあります。飼い主が負けていると、犬は自分のほうが強いのだと思ってしまいます。嫌なことをされるときは噛みつけば、飼い主がひるむことを知れば、噛みついて飼い主を従わせようとします。また、飛びついて相手を拘束したり、吠えて自分の要求を押し通したりして、リーダーシップを発揮するようになってしまいます。
こうなってしまったら、噛んできた時は犬の相手をしない、とびついてきても犬の相手をしない、何か要求して吠えてもすぐにそばに行かないなど状況に応じた対処をして、犬の思うようにならないことを示しましょう。
リーダーが誰なのかをはっきりとわからせましょう。

・スキンシップを大切にしよう
大切なことは、子犬のときから優しく体をなでたりスキンシップをはかること、ブラッシングなどの手入れをしながらよく話しかけることです。わんちゃん専用のおもちゃを与えることも大切です。そして、犬がよい行動をしたときは、犬をよくほめてあげることが一番のしつけの方法です。